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おっさん時計 #36「トリチウム」

「おっさん時計」は最近になって機械式時計の魅力に突然目覚めてしまったおっさんが次なる一本を購入するために必要な知識を深めていくことを目標とした連載です。【毎週水曜日に更新】

暗闇で腕時計を確認するときに主にデジタル時計にはライト機能が搭載されています。

昔は(一部今の時計にもありますが)サイドのボタンを押すとベゼルの影に隠れている小さい電球が発光し文字盤を照らして時刻を確認できました。

この電球の光量は非常に小さく文字盤全体を照らすには不十分なものが多かったのです。最近ではLEDの性能が上がり昔に比べて省電力で光量も十分確保されている時計もあります。

今から25年ぐらい前に電球に代わる光源として、ELバックライトなるものが世間に出回り、文字盤自体が発光して時刻を確認できる画期的で格好の良い時計が発売されたのを覚えています。

当時は別段時計について詳しく調べていたわけではないので、実際ELバックライトがいつ頃から発売されていたかは正確には分りませんが、当時購入したGショックはELバックライト非搭載で、そのすぐあとにELバックライト搭載モデルが上位機種として販売さていたのを覚えています。

ELバックライトモデルが欲しかった記憶がありますが、結局当時買う事はありませんでした。

今ではELバックライトは低価格の腕時計でも当たり前のように搭載されていますが、当時はちょっと高級なモデルにのみ搭載されていました。

クォーツ時計には電池があるので、電力を使う光源を使用することができるのですが、機械式時計には電源がありません。

そこで今回の話「トリチウム」です。

機械式時計でも夜間(暗闇)で時刻を確認したいというニーズは古くからありました。

そこで使われるのが、ラジウムやトリチウムという物質です。これらを使用した塗料は自発光塗料といい、何もしなくても光り続けます。

非常に便利なのですが、ご存知の方も多いと思いますが、これらは放射性物質で放射線を出し続けているのです。
ラジウムについては人体への健康被害があり現在では全てのメーカーで使用はしていません。

一方、トリチウムは現在でも一部メーカーで使用されています。トリチウムはラジウムに比べると放射線量が低く人体への影響も少ないとされています。

又、日本国内に輸入される場合は日本の法律に則った放射線量のモデルしか販売できない事になっています。文字盤に「T25」「T<25」と記されていると放射線量が基準値以下となります。

トリチウムを使用しているといつでも光っているのでとても便利なのですが、科学的に問題ないと理解していても、なんとなーく、なんとなーく、身に着けているものに放射性物質があるのは心配になってしまいます。

心配する人が多いからなのか、トリチウムを使用しているメーカーよりも多くのメーカーが別の方法で時計を夜間(暗闇)でも使用できるようにと考えているようです。次回につづく。

次回「ルミノバ」です・・・お楽しみに。

byしんた

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